あの頃…
それもそうか

だって、何を隠そう、黒崎病院だ

「じゃあ、その、突然彼氏顔するの、やめてください」

反則です

そんなに免疫ないんです

視線を外した足元には花びらが数枚

「就業、終わってるし」

上司としては、患者が相談したいことがあるのだと言われてしまえば何も言えない

あのまま3年ほどしるふが医者として育つことを待っていたらそういう弊害が出てきたのか

としるふの形の良い頭を見下ろしながら今更ながらに思った

「まあ、ゆっくりなれればいいさ」

なにせ未だに黒崎先生扱いだ

「そういえば、こないだ言われたから考えてみたんだが」

行きたいお店

海斗の言葉に見上げてくるブラウンの瞳

「おごりですか」

なんて聞いてくるところいい性格をしているものだ

「ああ、一応」

「じゃ、今日そこで!!」

途端に嬉しそうに笑うしるふに、行くか、と手を取る

そっとぎこちなく絡む指先
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