あの頃…
すっと細まったブラウンの瞳

すぐ響く海斗の笑い声

ああ、だから

見上げないと視線が合わない海斗だから

何も言わなくても歩調を、この恋の歩調を合わせてくれる海斗だから

だから海斗だったんだ

そっと髪をすいていく手は、どんなそれよりも優しい

壊れないように、傷つけないように

触れてくる手から、響く声音から、見下ろしてくる瞳から

無言で伝わってくるそれを

ずっと抱きしめていけたら

他には何もいらない

ずっと、ずっとあの背を追いかけていける

時々、振り返ってくれるのを、知っているから
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