あの頃…

「お姉さん面白いね」

よく見れば綺麗だし

背もたれに寄りかかり見上げてくる視線に居心地が悪くて眉を寄せる

「連絡先教えてよ」

今度遊ぼ

「冗談言わないで。こっちは真剣なの。あなたのおふざけに付き合ってる暇ないわ」

死んだってこんな奴と知り合いになるものか

「やっぱり面白い」

良いね

笑う戸田に

「あのね!!いい加減に…っ」

怒鳴ろうとして、突然手首をつかまれる

「この店の奥、ビップルームでね、こんなたばこ臭いとことは大違いなんだ」

これからどう?

「誰があんたとなんかと。下心見え見えじゃない。そうやって何人もの女泣かせてきたんでしょう？」

「気づかない方が馬鹿っていうのもあると思わない?それに別に本命じゃなくてもいいっていう子もいるし、責任はお互いにあると思うんだけど。…そんなこといいから、連絡先、教えてよ。ついでにビップルームに連れて行ってあげるから」

椅子から立ち上がった戸田はほぼしるふと同じくらいの慎重だ