あの頃…
そしてこの机に突っ伏している立花しるふも研修医と呼ばれる新米医師

久しぶりの女医ということで結構かわいがられている、はず

ただ、一人を除いては…

「立花、寝るなら仮眠室行け。邪魔だ」

机に突っ伏したまま微動だにしない頭を持っていたカルテでコツコツと叩く

途端、もれるうめき声

「5分。5分でいいから放っておいてください」

声とともに頭に置かれたカルテをどけるのだから

立花しるふの順応性もなかなかのもだとこの間神宮寺医局長が笑っていた

そうそう、今しるふの横に立つのが、黒崎海斗

今はアメリカに行ってしまっている黒崎病院現医院長・黒崎信次の息子で、ERの医師である

しかもしるふの指導医でもある

しるふに言わせれば、女泣かせの背高のっぽ

今まで見下ろす側だったしるふが、

屈辱的にも見上げなければならない187㎝の長身を誇るERきっての凄腕医師だ

もう一つ、特徴を上げるとすれば、しるふを唯一かわいがらないということ

「邪魔だと何回言わせる。今すぐ仮眠室に行け」

今度はカルテの端でその頭を押してみる
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