あの頃…
というわけで。

しるふ、海斗、神宮寺以外のERメンバーでくじ引きを行い

居残り組を選出した後、とあるバーにて歓迎会が実施された

「くーろざき先生」

カウンターに寄りかかり、盛り上がる医局員たちを眺めていると

主役であるしるふがビール片手に近寄ってくる

「黒崎先生飲まないんですか。あ、まさかこの後病院戻ろうとか」

仕事熱心ですねー

そう言って持っていたビールを喉を鳴らして飲む

いつもよりフレンドリーなのは、酔っているからだろうか

「黒崎先生は飲めないのよ」

ねえ?

こいつは酒に強いのか、とジョッキを煽るしるふを見下ろしながら思っていると

神宮寺が反対側から近寄ってくる

こちらは手にグラスを持っている

「え。黒崎先生飲めないんですか」

驚いたように見上げてくるブラウンの瞳に、

「そんな憐れまれるいわれはないんだが」

と眉を寄せる

「え、だって。黒崎先生はお酒の美味しさを知らないってことですよね?」

「一滴も飲めないわけじゃない」

飲めば眠くなるだけで
< 31 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop