あの頃…
言い換えれば海斗がここまで手をかけるのはしるふだけで

海斗にここまでついてきたのは、しるふだけだ

「君なら、海斗を変えられると思うよ」

「え、あのいやみったらしい性格ですか」

無理ですよ

「それより、そろそろ時間危ないんじゃない?」

快活に笑いながら壁の時計を指さす

「ああ!!昼休み終わっちゃう!!」

私のお昼ご飯!!

お疲れ様です!!

言い残してぱたぱたと階段を上っていくしるふの背を見送りながら

きっとしるふなら、医者に、黒崎病院跡取りという立場に、

諦めてしまっている海斗を変えられる、そう思うのだ


「莉彩!!」

ERに戻る途中、見知った背中を見つけて呼び止める

「あー、しるふお疲れ」

今戻り?

「まあ」

と言いつつ片手にあるのは売店で買い込んだ昼食兼おやつ

「今まで何してたの」

しるふが持っているビニール袋に気がついて莉彩が眉を寄せる
< 40 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop