あの頃…
「何よ。いつも隣に居るくせに見かけたことないの?黒崎先生尋ねてくる人結構多いのよ」

しかもどれもこれも儚げで、吹けば飛ぶようなどこぞのお嬢様ばかり

時々、自信と美貌の塊の同業者も

「だから刺されないように気をつけなさいよ」

しるふ一緒に行動すること多いから

勝手に誤解されていても不思議じゃない

「なにあれ、」

知らない

知りたくなんてなかった

あんな無感動な海斗の瞳など

海斗に寄ってくる人がいるなど

今更、海斗の行きてる世界が、どこか遠くの知らない場所のような気がして

面白くない

そう思った自分が居た

海斗は自分の指導医である前に黒崎病院の跡取りなのだと

変えられない現実を突き付けられたようで

嫌だ

そう思った

「莉彩、行こ」

やっぱり知りたくなんてなかった

「ちょっと、何怒ってんのよ」

「怒ってない」
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