あの頃…

意地っ張りで泣き虫な彼女

「しーるふ」

医局のテーブルでカルテの整理をしていると背後から莉彩が覗き込んでくる

「ん」

生返事ひとつ

視線も投げやしない

「今日、飲み行かない?」

「んー、パス」

手も止まらない

「もう、最近付き合い悪いよー」

つか、家に帰ってるの?

ここ最近ぱたぱたと忙しそうに走り回るしるふしか印象にない

「まあ、時々寝るために帰ってるかな」

「何をそんなに頑張ってるわけ」

それでなくとも研修医は忙しいのに

「やりたいことたくさんあるけどやらないといけないこともあるから」

必然的に睡眠時間や移動時間が減る

「別に飲みに行かないのはいいけどさあ、あんまり無理しないでよね」

「ありがと」


そんな会話をした昼下がりの午後
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