あの頃…
ギギ、と音の割には軽くドアは開く

最近のしるふの日課は、お昼ご飯を屋上で食べること

眺めがよくて風も良い心地に吹く

誰もいないこの空間が、息抜きにはもってこいなのだ

「…げ」

屋上に設置してあるベンチに座る姿に、思わず口をついた言葉

だからと言ってこのまま帰るのも癪で、仕方なしにゆっくりとドアを閉める

そろそろと足音を忍ばせながら近づけば、気配で顔を上げる

「……何、してるんですか」

黒崎先生

「何って休憩だけど」

それ以外に何がある、と言わんばかりの口調だ

「…最近、ここでゆっくりと一人昼食をとるのが私の日課なんですよ」

「そう」

そう言って視線は持っていた資料に戻ってしまう

数秒、その姿を見つめた後、ふと半分空いたベンチとその隣にあるもう一つのベンチを見比べて

「ここ、私しか知らない穴場だと思ったのにな」

空いている方のベンチの真ん中に腰かける

ビニール袋から取り出すのは、売店で売っている大きなおにぎり

具が4つほど入っているのが魅力

「それはこっちのセリフ」

視線を寄こさず、しるふのつぶやきに海斗が返す
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