あの頃…
次の日 

きっちり睡眠をとれば、必然的に顔色はいいし、足取りも軽い

「おはようございます」

従業員用通用口からERに向かい、ロッカールームへ行く途中

夜勤の疲れを微塵も見せない海斗が医局から出てくる

「おはよう」

相変わらず隙がないったらありゃしない

「昨日はちゃんと寝たんだな」

視線は持ったカルテのまま、向かい合った海斗が口を開く

「え…まあ、はい」

言い当てられるとは思っていないかった

「顔色悪いと化粧が濃くなるからわかりやすい」

そう言い残して階段を下りていく海斗を見送り、

「…一瞬でも優しいと思った私がばかだった」

むっとしながら見下ろすICU

患者と話す海斗を見つめつつ、それでも人の顔色をよく見てるのだなと

意外と言えば意外だと思ってしまった

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