あの頃…
「立花先生」
暗い院内のベンチに腰かけていると静かに響く声
呼ばれたと気がつくのに数秒かかった
「医局長」
「こんなところで何してるの」
そう言って隣に腰かける神宮寺
あの後、アフターケアをして患者を送りだし
そこそこの時間で切り上げてきた
「最近、詰めてない?」
黒崎先生が心配してたわよ
流れる沈黙を破ったのは、神宮寺
「黒崎先生は」
すごいですね
いつだって冷静で、一人一人の患者と向き合っているのに
切り替えだってうまい
自分よりもはるかにたくさんの仕事をこなしているのに、それを微塵も感じさせない
なのに自分は
患者を救えなくて、無力感でいっぱいで
「黒崎先生は、あなたよりさらに不器用なだけよ」
無力感を感じてもそれを表に出さないだけだ
暗い院内のベンチに腰かけていると静かに響く声
呼ばれたと気がつくのに数秒かかった
「医局長」
「こんなところで何してるの」
そう言って隣に腰かける神宮寺
あの後、アフターケアをして患者を送りだし
そこそこの時間で切り上げてきた
「最近、詰めてない?」
黒崎先生が心配してたわよ
流れる沈黙を破ったのは、神宮寺
「黒崎先生は」
すごいですね
いつだって冷静で、一人一人の患者と向き合っているのに
切り替えだってうまい
自分よりもはるかにたくさんの仕事をこなしているのに、それを微塵も感じさせない
なのに自分は
患者を救えなくて、無力感でいっぱいで
「黒崎先生は、あなたよりさらに不器用なだけよ」
無力感を感じてもそれを表に出さないだけだ