あの頃…
「おはよう、莉彩」

次の日

先に出勤していた飯田を見つけて声をかける

「ああ、しるふ。おはよう」

スプリングコートをロッカーにかけてナース服を着る

「今日さ、飲み行かない」

この間の仕切り直し

「お。いいね。乗った」

パチン、と指を鳴らし、莉彩が笑う

「どういう心境の変化?」

あれだけ時間を惜しんでいたのに

不思議そうに見つめてくる飯田を横目に着替える

「ん?んー、焦るなって言うからさ」

誰が、とは言わない

でもあの漆黒の瞳が、あのずっと前を行く背が、そう言うのなら

黙ってついて行こう

「よくわかんないけど。ま!今日はそれを糧に頑張りますか!!」

現金なものだと、飯田を見ながら笑う

飯田の後に続いてロッカールームを出れば、階段を上がってくる白衣姿の海斗
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