あの頃…
神宮寺医局長とは次元が違い過ぎるのよ

海斗も同じく

「あ、そうだ。内科と言えば、佐藤先生だっけか。どうですか、彼」

「どうと言いますと」

「本当、しるふって鈍感って言うか、そう言うことに興味がないって言うか」

まあ、そこが美徳であると言えばそうなのだけれど

なにせあの黒崎先生相手に自分のペースを崩さない女だ

「佐藤先生、さわやか系な好青年って有名」

「へえ」

「うちの病院って総じていい男が多いのよね。医院長は渋いダンディでしょ、その息子の黒崎先生はワイルド系。秘書の矢吹さんは謎が多いけど時折見せる笑顔が好評価、内科の塔矢先生は黒崎先生世代のさわやか系ポジション、で佐藤先生がうちら世代のさわやか系アイドル」

ほら、たくさん

「いい人だよ、佐藤先生」

「それだけ?」

「うん」

じっと見つめてくる莉彩の視線が心なしか、痛い

「ま、黒崎先生には敵わないみたいだけど。手の届くアイドルって感じ?」

遠くから熱い視線を送る先にいるのが海斗なら

佐藤はすれ違ったら手を振って笑顔を向ける相手、とでも言っておこうか
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