あの頃…
「ふーん」

確かに一緒にいて楽しいし、患者からも好かれている様子を良く目にする

「そう言えばERにも新しい研修医来たんでしょ?」

そっちはどう

「ああ、うるさい今時男子が来たわよ。いつもさ、黒崎先生とか、落ち着いた人ばっかり見てるからああも元気はつらつとしてるとうるさくて仕方ないのよね」

あれは愛想がいいんじゃなくてただうるさいのだと莉彩は思っている

海斗の隙のなさを目にするたびにああこれが普通だと思っている自分が居る

「黒崎先生がERでいちばん年下だからさ、いい感じの兄貴分と認識されてるらしく、面倒くさがってるのがなんとなく伝わってくるのよね」

それは莉彩がそう思っているからかもしれないが

なにせそこまで海斗と親交がない

「え、指導医黒崎先生なの」

しるふの箸が止まる

「まさか。ただあの調子の良さと愛想の良さで誰にでも等しく接してるだけよ」

「なんだ」

良かった

莉彩の言葉にほっとした自分がいて、何にこんなにも安堵したのか

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