あの頃…
「佐藤君、ちょっと頼まれ事してもらえる?」
すでに懐かしい日々を思い返していると医局のドアが開いて塔矢が入ってくる
「あそこの資料を第一資料室まで頼むよ。重いだろうから台車使ってどうぞ」
コーヒーを飲み干してぱたぱたと医局から消えていく背を見送る
「立花先生って無自覚とか鈍感とか言われたことない?」
笑顔でそう問いかけてくる塔矢が佐藤がいた場所に座る
「いいえ」
「そう。じゃあ、自分が黒崎病院で人気なのは知ってる?」
「いいえ、まったく」
しるふの不思議そうな瞳に塔矢が快活に笑う
「まあ、あの黒崎海斗が唯一指導をした研修医に手を出すほどのばかはこの病院にはいないと思うけど一応、」
そう前置きをして
「立花先生は黒崎病院の独身男性の中で断トツ人気だから、気を付けて。何かあったら黒崎海斗に言いますって言えばいいよ」
きっと苦笑いして去っていくから
「黒崎先生の名前、そんなことに使っていいんですか」
怒られたりしません?
「ERを離れた立花先生に変な虫をつけるなんて失態を冒す方が、海斗のバロメーターに触れる」
すでに懐かしい日々を思い返していると医局のドアが開いて塔矢が入ってくる
「あそこの資料を第一資料室まで頼むよ。重いだろうから台車使ってどうぞ」
コーヒーを飲み干してぱたぱたと医局から消えていく背を見送る
「立花先生って無自覚とか鈍感とか言われたことない?」
笑顔でそう問いかけてくる塔矢が佐藤がいた場所に座る
「いいえ」
「そう。じゃあ、自分が黒崎病院で人気なのは知ってる?」
「いいえ、まったく」
しるふの不思議そうな瞳に塔矢が快活に笑う
「まあ、あの黒崎海斗が唯一指導をした研修医に手を出すほどのばかはこの病院にはいないと思うけど一応、」
そう前置きをして
「立花先生は黒崎病院の独身男性の中で断トツ人気だから、気を付けて。何かあったら黒崎海斗に言いますって言えばいいよ」
きっと苦笑いして去っていくから
「黒崎先生の名前、そんなことに使っていいんですか」
怒られたりしません?
「ERを離れた立花先生に変な虫をつけるなんて失態を冒す方が、海斗のバロメーターに触れる」