あの頃…
忙しくないならね

そう言って向けられる笑顔が少し懐かしい

「そう言えば、新しい研修医が来たって聞きました」

「ああ、彼ね。長谷川先生…」

タイミングよく背後の扉が開く

「医局長ー、終わりましたよー、外来ー」

そう言いながら入ってきたのは、研修服を着た見たことのない人

さしずめ、長谷川か

「お疲れ様、長谷川先生」

ふと振り返ったしるふと長谷川の視線が合う

「…もしかして、噂の研修医!立花先生!!」

噂?と首をかしげるしるふの向かい側で嬉しそうに長谷川が笑顔を向けてくる

「いやー、研修医の中に飛び切り美人がいるって噂で、でもERにいてなかなかお目にかかれないって」

ここで会えるなんてER来て良かったー

「ちょっと長谷川先生。私の目の前で立花先生口説くなんて業務内容倍にされたいの?」

背後から聞こえる神宮寺の頼もしい声

「それ権力の乱用ですよ、医局長」

しかもまだ口説いてませんよ

「あら、当然の行使よ」

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