セカンド・ウエディング~彼の愛は濡れる雨のごとく~
ACT5*父親は御曹司
~杏SIDE~
駅まで向かう道中、孝典さんの足がピタリと止まった。
「孝典さん?」
「杏…俺の部屋に来る気はないか?」
孝典さんは私と理沙の親身に考えてくれた。
嬉しい申し出だった…
でも、孝典さんに迷惑がかかる…
「それはダメだよ…孝典さんに迷惑かかるし…私たち家族の問題だもん」
「…俺が…他人のように…見て見ぬ振りできると思うのか?」
「…ゴメンなさい」
「俺のマンションはセキュリティも万全だし…大丈夫だ」
「…でも、理沙の学校は校区外だし…無理だよ」
「…じゃあ~分かった…俺がお前たちの部屋に住む」
「…た、孝典さん?」
「…女ばかりで心配なんだ…男手で欲しいだろ?」
「でも…孝典さんにも武の危害が」
「…自分の身は自分で守る…杏…話は終わりだ…行くぞ」
孝典さんは私の肩を抱いてきた。
昨日の夜の行為を思い出し、ビクンと肩が跳ねる。
「俺が怖いのか?」
「ううん…その逆…」
「…拒まれたらどうしようかと思った」