セカンド・ウエディング~彼の愛は濡れる雨のごとく~
満員電車の中…私を腕の中に引き込んで、盾になってくれた。



「いってらしゃい」


「いってきます」


私たちは小さな声で言葉を交わした。

私は孝典さんと別れ、電車を降りる。



扉の閉まる瞬間まで孝典さんに向かって、小さく手を振り続けた。



孝典さんを乗せた電車の扉はゆっくりと閉まって、次駅に向かって走り出す。


私は電車を見送り、気合を入れてホームの階段を上がっていった。



「おはよう~っ。杏」



「夕夏さん!?おはようございます」


私の後を追いかけて来た夕夏さんと一緒に会社に向かった。



「見たわよ…」


「えっ?」

まさか…見られていた?






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