赤い結い紐
「なんで?」

千華は諦めて訊いてみた。

「なにがだい?」

「なんで武は、四百年も生きてるの?」

「人を探してるって言ってただろ?」

水晶球に映る武を指差してレイラが言った。

つられるように視線を移すと、武はまだ歩き続けていた。

季節は冬に変わったようで、足元には雪が積もっていた。

「そうだけど、じゃあずっと探してるってこと?」

「ああ」

「でも、その人は四百年も生きていられるの?」

「無理だろうねえ」

「じゃあ、もう死んじゃってるんでしょ?」

「まぁ、そういうことになるねえ」

「なら見つけられないじゃん!」

なかなか答えが出てこないことに苛立ちを隠しきれずに千華が言うと、

レイラがおかしそうにのどを鳴らした。


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