赤い結い紐
「そばにいないほうがいいだろ?」

「そんなことないよ。あたし、ぜんぜん怖くないよ。

それに気持ち悪いとも思ってないもん」

「嘘つくなよ。平気なわけないだろ!

四百年近く生きてるんだぞ。ケガもしないし、髪の毛だって伸びない。

ずっとこの姿のままで生き続けてるんだぞ!」

拳で壁を叩き、吐き捨てるように言った。

その音に、一瞬だけびくっと身体を震わせた千華は、

少しずつ、少しずつ近づき武の身体にしがみついた。

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