赤い結い紐
「いや、自分の部屋で寝ろって言ってんだけど?」

「今日は一緒に寝るの」

布団を握り締めて千華が言うと、

「勝手にしろよ」

そう返して、武は隣に転がった。

千華がすばやく動き、武の胸に頭を乗せてしがみついた。

妹がいたらこんなもんなのかな。

武は心の中で思いながら、聞こえるようにため息をついた。

いつもとは違った種類のため息を。


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