赤い結い紐
翌朝目を覚ますと、千華の寝顔が一番に飛び込んできた。

カーテンの隙間から差し込む朝日を浴びてぐっすりと眠る千華の顔を見ていると、頭の中に昨夜のことが浮かんできた。

経験したことのないくすぐったさを感じ、顔にかかっていた髪の毛を指でどかしてやる。

よく見ると、頬の辺りに涙の跡があった。

もしかしたらあの後も、ひとりで泣いていたのかもしれない。
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