赤い結い紐
武は千華を起こさないように、そっとベッドを抜け部屋を出た。

階段を降りてキッチンに向かうと、ジンとレイラがテーブルに座っていた。

汚れたお皿が散らかっているところを見ると、久しぶりにレイラが料理をしたのかもしれない。

「千華はまだ寝てるのかい?」

テーブルに肘をついた姿勢で、レイラが訊ねてきた。

それを聞いたジンが、ニヤニヤと笑いながら、なにやら目で訴えかけてくる。

「ああ、ぐっすりだよ」

武はジンの視線を無視しながら答えた。

「大丈夫だっただろ?」

「ああ」

「よかったじゃないか」

「ああ」

小さく呟いて、冷蔵庫から出した500ミリの水のペットボトルを持って部屋に向かう。

武が振り向いて「ありがと」とぼそっと言うと、「ああ」とレイラが真似して呟いた。

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