赤い結い紐
武はそんな千華に、なんとなく愛しさを感じ、頭を撫でてやる。

千華は大きな手で撫で回されて、飲みにくそうに首をガクガクさせながらも照れくさそうに、えへへ、とはにかんで笑った。

武は千華の頭から手を離して、タバコに火をつけた。

大きく息を吸って煙を吐き出すと、横から半分ほど残った水のペットボトルが差し出された。

「ああ、ありがと」

呟いて、ペットボトルを受け取り一気に流し込む。

息が続くまでペットボトルを傾けて、千華に渡すとそのまま後ろに倒れこんだ。


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