赤い結い紐
もうちょっと頭を使いな!

そう付け足して、懐(ふところ)から出した扇で頭を叩かれた。

パシン、とこぎみのいい音を響かせて満足そうに笑い、

「飯にするよ!」

と言い残して部屋を出て行った。

長い銀色の髪の毛が、しなやかに括(くび)れている黒いドレスの腰の辺りで小刻みに揺れている。

彼女と一緒に暮らすようになってもう三年になろうというのに、

相変わらず何から何まで不思議で仕方がない。

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