赤い結い紐
「ごめんね」

千珠が小さく呟くと、

「いいよ」

由加里がため息にのせて言った。

「それにしても、あんたよく泣いたね。干からびるかと思ったよ」

「うん、わたしも」

顔を見合わせて笑いあうと、少しだけ楽になった。

そっけない振りをして、慰めてくれているのがわかる。

だからこそ、千珠はまた涙が出そうになるのを必死に我慢した。

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