赤い結い紐
「わからねぇ。もう、わかんねーよ……」

武の苦しそうな呟きが空気を震わせた。

「あたしゃ何も知らないよ。ただ、思ったことを言ってみただけだからね」

散々言葉を投げ散らかして、元凶の主は部屋を出て行った。

「たける……?」

次にこの部屋を支配したのは、残された千華の呼びかける言葉だけだった。

そんな二人を、窓からそっと月だけが覗いていた。 

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