赤い結い紐
千華はまだ半分寝ぼけているらしく、

再び目を閉じ腕に力を込めて武の身体を抱き寄せると、静かに寝息を立て始めた。

「千華」

武はそっと呼びかけてみた。

瞼が震えてゆっくりと開く。

「なぁーに?」

「ちょっと、手、離してくれるか?」

「やだ」

千華が短く呟いて、回した腕によりいっそうの力を込める。

そのせいで、武の顔は千華の小さな胸に押し付けられる体勢になった。

「タバコ、取ってくるだけだから」

武が苦笑いして答えると、頭上から、

「ほんと?」

と声が聞こえた。

武が頷いて返すと、そろそろと腕の力が抜けていく。

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