赤い結い紐
武はゆっくりと立ち上がり、ドアノブをつかんで思いっきり引っ張った。

山積みになって置かれていたガラクタが、

引きずられるように移動して、ドアが半分ほど開いた。

その隙間に捻り込む様にして身体を通した千華が、

勢いよく廊下を走っていく。

武も足元の残骸をちらりと見て足で横にどかし、

隙間に身体を滑り込ませて廊下に出ると、自分の部屋に向かった。

部屋を開けて中に入ると、まず最初にタバコを探す。

すると何故か、買い置きのタバコも、吸いかけのものも、一つとして見つけることができなかった。

「ジンにでも貰うか」

小さく呟くと、廊下に出て階段を降りた。

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