赤い結い紐
来たばかりの頃は、何も話そうとはせず、ずっと塞ぎこんでいたのだが、

最近ではよく笑うようになり、うるさいほどに口から言葉を溢れ出させていた。

それでも笑うようになっただけ、まだましなのかもしれない。

レイラが初めて彼女を連れて帰ってきたとき――

まるで間違って上空に突然滝が現れたかのように雨が降り注いでいたとき。

「拾った」

一言で言い切って、武の目の前にずぶ濡れの女の子が突き出された。

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