赤い結い紐
階段を降りてキッチンに入ると、最近では珍しく、ジンとレイラがテーブルに向かい合って座っていた。

日本酒の一升瓶の他にワインのボトルがあるところを見ると、レイラも付き合って飲んでいたらしい。

ジンは千華の話に耳を傾けて、うんうんと相槌を打っている。

その様子はまるで、幼稚園から帰ってきた娘の話を聞いている父親のようだった。

それを見て、レイラがニヤニヤと笑いながら扇をあおいでいた。

「デートなんだってねえ」

武に向かってかけられたはずのレイラの言葉に、千華がすばやく反応する。

「やだ、レイラさんてば」

いつのまにか、ニヤニヤ笑いはレイラからジンの顔に戻っていた。 

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