赤い結い紐
千珠はパニックに落ちいっていた。

それこそ頭の中で、小さな小人達が、

「祭りだ、正月だ、クリスマスだ!」

と好き勝手に暴れまわっているような感じだった。

定食屋で鯖(さば)の煮つけを食べて、店に戻ってきたときまでは普通だった。

いつもと変わらぬ昼休みを過ごしていたはずだった。

それなのに、いざ店に着いてみたら何故か武が店内にいた。

しかも、きょろきょろとしている武を見て、由加里が話しかけようと、うずうずしている。

この瞬間、千珠の頭の中はどこか異空間に飛んでいってしまった。

そこでは、ありとあらゆる季節の祭りが同時に起こっていた。

とうとうクリスマスに続いてハロウィンまでもが始まり、

小人達はかぼちゃを頭にのせて、いたるところにあるドアを叩きまくっている。

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