赤い結い紐
千珠は胸に手を当てて、苦しそうに息を整えながら深々と頭(こうべ)をたれた。
「ごめんなさい」
目の前の後頭部をにらみつけながら、千華が「ふんっ」と鼻を鳴らす。
武は千華の頭に手をのせて、やさしく撫でてやった。
千華があごを突き出すようにして武を見た。
その瞳には、敵意と微かな戸惑(とまど)いが写っている。
武が二つの瞳を覆うように手で隠してやると、千華はおとなしく武の腰に顔を押しつけて抱きついてきた。
千珠はゆっくりと頭を上げてぎこちなく微笑むと、右手に持っていたものを差し出した。
それは黒くて薄くて四角かった。
武はとりあえず受け取り、「ありがとう」と小さく呟いた。
千珠はにっこりと微笑み、もう一度頭を下げて来た道を戻っていった。
武は手に持った黒いプラスチックをしばらく眺めてから、ポケットに入れて歩き出す。
千華も腰に巻きついたままで、ちょこちょこと歩き出した。
「ごめんなさい」
目の前の後頭部をにらみつけながら、千華が「ふんっ」と鼻を鳴らす。
武は千華の頭に手をのせて、やさしく撫でてやった。
千華があごを突き出すようにして武を見た。
その瞳には、敵意と微かな戸惑(とまど)いが写っている。
武が二つの瞳を覆うように手で隠してやると、千華はおとなしく武の腰に顔を押しつけて抱きついてきた。
千珠はゆっくりと頭を上げてぎこちなく微笑むと、右手に持っていたものを差し出した。
それは黒くて薄くて四角かった。
武はとりあえず受け取り、「ありがとう」と小さく呟いた。
千珠はにっこりと微笑み、もう一度頭を下げて来た道を戻っていった。
武は手に持った黒いプラスチックをしばらく眺めてから、ポケットに入れて歩き出す。
千華も腰に巻きついたままで、ちょこちょこと歩き出した。