赤い結い紐
夕食を食べ終えて、お茶を一杯飲んだ。

千華が飲み終わるのを待つのに、もう一杯飲み干した。

食器を片付けようと、千華が席を立つのを見計らって声をかける。

この場でレイラ達に見せるのは、気が進まなかったからだ。

「千華、ちょっといいか?」

「うん、なに?」

「これなんだけど……」

武はポケットから、千珠に貰った黒いプラスチックの物体を取り出して千華に渡した。

「MDがどうかしたの?」

「これって、何に使うんだ?」

「何って、音楽を聴くんじゃないの?」

首を傾けて、千華が訊き返した。

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