赤い結い紐
武は窓から差し込む色とりどりのネオンに身体を照らされながら、ベッドの上でタバコを楽しんでいた。

耳元にはうねうねと黒いコードが延びていて、それを通してピアノやチェロの音が流れ込んでくる。

ただ、もちろん、その原理などはわからない。

口から吐き出されて辺りを漂う煙には、レーザービームのように赤色の光が映っていた。

武はコードを手繰り寄せて窓を開けると、タバコをくわえたままで上半身を窓から乗り出した。

真っ黒な空の中に、ネオンに邪魔されながらも月がひっそりと漂っていた。

残念ながら、無数にあるはずの星たちは、その半分以上を闇の中に隠している。

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