赤い結い紐
昔、武は思っていた。

あの星たちは、今も遠いところで光っているものだと。

でもレイラと知り合って教えられた。

今自分が見ている光は、遥か何百年も昔のものだということを。

目に見える星は、すでにこの世には存在しないかもしれないということだ。

ならばまだ自分がまともだった頃。

普通に年をとり、病気になり、ケガをしていた頃。

その時に輝いていた星の光を、今自分は見ているのだろうか?

その光の中には、無くしてしまった記憶が存在するのだろうか?

その星は、もうすでに消えて無くなってしまっているのだろうか?

いくら考えても、その答えはわかるはずもなかった。

ひとつだけわかるのは、自分が誰よりも長く生きているということだけ。

そして今ではその理由さえもわからず、銀の鈴を大事に守ることしかできない。

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