赤い結い紐
武はポケットからタバコを出して、一本に火をつける。

「あのね、それ吸ってからでいいから、見てほしいものがあるんだけど?」

躊躇(ためら)いがちに千珠が言った。

「なんだ?」

「うん、これなんだけど……」

千珠は恥ずかしそうにはにかみながら、紙袋の中から洋服を取り出して、

茶色の七部丈のヒッコリーパンツ、カットソーをベッドの上に人の形で並べた。

そしてベッドの下に、クリーム色のスリッポンを置く。

この靴は少し前に流行ったブランドの新作だった。

由加里はもっと高いものでもいいと言ったのだけど、千珠が気にいってこれを選んでいた。

「これ、全部くれるのか?」

「うん、着てみて」

「ああ」

武はタバコを灰皿に載せて服を着替え、靴も履いた。

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