赤い結い紐
千珠を大通りまで送って家に戻ると、玄関で千華が待ち構えていた。

「帰ったの?」

「ああ」

「そう」

千華が短く呟いた。

「ねえ、武」

「なんだ?」

「あの人のこと好きなの?」

武は少し考える素振りを見せてから、小さく首を振った。

「わからん」

「そう」

千華が囁くように言った。

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