赤い結い紐
「別に邪魔されたわけじゃないんだけど……」

「じゃあ、なんなのよ?」

由加里がしたり顔で見つめてくる。

しかたなく千珠はポツリと呟いた。

「帰れオーラ、出されちゃって」

「あーあ、ほんとに、あんたって子は」

「だって……」

「だってじゃないでしょ? わかってんの? 恋は早い者勝ちなんだよ?」

「でも、元々はわたしが後から割り込んだわけだし」

「そんなこと関係ないわよ」

由加里がはっきりと言いきった。

「でもまぁ、武はチビに対して恋愛感情はないと、わたしはふんでるけどね」

「なんでそんなことがわかるの?」

「だてに接客業をやってるわけじゃないからね」

そう言って、由加里は偉そうに鼻を鳴らした。


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