赤い結い紐
背後に迫る長い足をなんとかかわして振り返ると、

真っ黒のバスローブを着て頭にタオルを巻きつけた姿のレイラが、仁王立ちで睨んでいるのが目に入った。

女の子はすばやくレイラの後ろに隠れ、太ももの辺りからこちらを伺(うかが)い見ていた。

「悪い。千夜かと思って……」

「だからって、いきなり服を捲るなって何度言えばわかるんだい! 

おまけにこの子、まだ濡れた服のままじゃないか。

あんたには着替えを貸してやろうとか、そういう優しさはないのかい? 

まったく」

呆れたように呟いて、女の子を立たせると、

「おいで、熱い風呂にでも浸かりな」

そう言って、浴室のほうに連れて行った。

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