赤い結い紐
それ以来、彼女はここで一緒に暮らしている。

千華という名前も、レイラがおもしろがって勝手につけた名前だ。

もちろん由来は千夜からきている。

あとから聞いたところによると、彼女の歳は十六だった。

それにしては発育が遅れているのか、その身体は年頃の子よりも細すぎた。

そして、彼女の胸にもホクロはなかった。

それでも彼女の作る食事は結構おいしい。

ここにいる理由はそれだけで十分なのかもしれない。

俺なんて何もしていないわけだし。

ただ、用心棒というわけのわからない役職を貰って、ここに住まわせてもらっているだけだ。

それにその役職が必要になるようなことはこの三年間一度もなかったし、これからもないだろう。

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