赤い結い紐
よく考えたら、このジンという男も何の仕事をしているのかすらわからない。

短く刈り込まれた髪の毛には、ここ最近白いものがちらほらと現れ始めていた。

レイラが言うには自称三十六歳らしいけど、どう贔屓目(ひいきめ)に見ても四十は超えている。

そもそも仕事をしているのかさえ定かではない。

いつも酒を飲んではふらふらとしているだけだ。

それでも何故かお金には困っていないようで、

酒を買ってくるように頼まれるときには、たくさんのおつりを駄賃だと言ってくれている。

全くもって謎だった。

それでも自分よりかはマシなのかもしれない。

なにしろ俺なんて、ケガはしない、病気にはならない、髪の毛は伸びない。

ましてや爪さえも伸びることがないのだから。


< 26 / 292 >

この作品をシェア

pagetop