赤い結い紐
それでな、ジンが呟いた。

「俺たちは遊園地に向かったんだ。天気も良かったよ。

息子がたくさんのテルテル坊主を吊るしてたせいなのかはわからないが、空には雲ひとつ無くて、一面真っ青だった」

「わかるよ」

武が小さく呟いた。

「でもな、遊園地には行けなかった。途中でな、トラックが突っ込んできて……」

苦しそうにジンが言った。

「二人とも死んじまったよ。そして俺にはこの傷が残った」

グラスの中の液体を一気に飲み干して、傷を撫でながら悲しそうに笑った。

< 263 / 292 >

この作品をシェア

pagetop