赤い結い紐
こんなにも長い間、ひとつの場所に留まることになったのは今回が初めてかもしれない。

それだけこの場所が居心地いいということだ。

レイラもジンもそれについては何も触れようとはしない。

一度、レイラにだけは話しておこうと思い、かいつまんで話したのだが、

「ふーん、おもしろいじゃないか」

の一言で片付けられてしまった。

たぶんジンにも話しているとは思うのだが、

彼が何も言ってこないところをみると、とくに彼も気にはしていないようだった。

四百年近く生きているけれど、この場所は、この人達は信用できるかもしれない。

そう思うようになっていた。

< 27 / 292 >

この作品をシェア

pagetop