赤い結い紐
武はベッドに寝転がって、タバコに火をつけた。

白い煙は窓の隙間に向かってまっすぐに伸びている。

部屋に戻る前に千華の部屋によってみたが、よく眠っているようなので、起こすことはしなかった。

レイラのせいで、せっかく固まった決心がまた少しだけ揺らいでしまうような気がした。

ただ、いくら左胸の下にホクロがあるからといって、レイラが千夜でないことは確かだった。

いくら忘れてしまったとはいえ、それだけは自信があった。

武は目を閉じて、千珠の顔を思い出した。

さっき見た夢の影響なのか、浮かんだ顔は泣いているものだった。

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