赤い結い紐
「どうして……」

再び声にならない呟きが漏れると、

ドアのほうからめんどくさそうな声が聞こえてきた。

「あー、うるさいねぇ。そんなに鳴らさなくても聴こえてるよ」

ドアの影からレイラが現れた。

「しかもあんた。人様に貰ったものを床に投げつけるとは何事だい?」

「どうして……」

「どうしてって、あんたが呼んだんだろ?」

違うのかい?

微笑んで、そう問いかけてくる。

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