赤い結い紐
「もしかして、おまえがあの時の?」

武が言うと、頬を歪めてレイラが言った。

「あんたって、本当に何もかも忘れちまったんだねぇ」

流れ落ちる銀の髪を見つめていると、武の脳裏に映像が浮かんできた。

「どうして、俺なんかを助けてくれるんだ?」

『あんただって、山でキツネを助けただろ?』

目を細めて女が言った……。
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