赤い結い紐
武は千華が立っていたはずの場所を、目を凝らして見つめる。

「千華はどうしたんだ?」

「帰ったよ」

レイラが短く答えた。

「帰ったって、どういうことなんだ? 

そういえばさっき『母様(かあさま)』とか言ってなかったか? 

千華はおまえの子供なのか?」

武が問いかけると、

「そうだよ」

あっさりとレイラが頷いてみせた。

「あんたが四百年もグズグズしてるもんだから、あたしにも子供が産まれたってことさ。

それともなにかい、あたしが子供を産んではいけないとでも言うのかい?」

「ジンもおまえたちの仲間なのか?」

レイラの問いかけを無視して武が言うと、呆れたようにレイラがため息をついた。

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