赤い結い紐
真っ白なウサギを胸に抱いて微笑む娘がいた。
そして愛しげに「千華」と、その名を呼ぶ自分の姿が……。
胸の奥がちくりと痛んだ。
無意識のうちに口がその音を刻む。
そうだったのか……。
武の口から呟きが漏れた。
そして気がついたように、
「待ってくれ。だとしたら、俺の身体はどうなるんだ?」
何も無い虚空(こくう)に向かって問いかけた。
「その答えは、さっきあの子が言っただろ」
今度会ったときにあたし達のこと忘れていたら、ただじゃすまさないよ……。
それがレイラが最後に残した言葉だった。