赤い結い紐
「ふーん、ジンさんもうすぐ死ぬんだ。かわいそーに」

「おいおい、やめてくれよ。勝手に殺さないでくれ」

哀れみの表情を浮かべかけた千華に、あわててジンが抗議する。

「なんだ違うんだ」

つまらなそうに呟いた千華が、武に目を向けて話の矛先を変えた。

「ねえねえ、武ってなんですぐに『胸見せろ!』って言うの? 

そんなに見たいんなら、あたしに言えばいーのに。

そしたら毎回、顔を腫らして帰ってこなくてもすむのにさ」

「別におまえの胸なんか見たくねーよ。言ったろ、人を探してるって」

「だからって、何で胸を見る必要があるの? 

警察に行って調べてもらえばいーじゃない。

名前とか住所とか言えば、調べてくれるんでしょ?」

焼き魚を箸でつつきながら、千華が訊いてきた。

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